故人の日記より10題1
01:不運にもこの日記を手にとってしまった人へ。これはお一人で読むことをお薦めする。
02:妄想甚だしいと思わないで欲しい。私は神の目や心をもっているわけはないのだから。
03:例え誰かの恥がこれに書かれていても破いたりしないでくれ。それもまた過去にあった消せない事実なのだから。
04:この日記を量産したら売れるだろうと言われた。…すこし心が揺れてしまった。
05:視界が水に沈んでしまって、これ以上字が書けそうにない。
06:きっといつか、懺悔のつもりの文章を笑える日が来るだろう。
07:忘れてはいけない。脚色してはいけない。だから、私はこれを綴る。
08:これでは日記というより観察記録だ。あまりに客観的で細かすぎる。
09:ページが足りない。この感動はきっと本一冊を埋め尽くしても語り尽くせないだろう。
10:日記も随分な量になってしまった。だが、これ以上増えることはないだろう。